院長の雑記帳

【院長の雑記帳2】相談できる医療

私は 父親になってみて、子供と接した時、初めて あの時 父親はこう考えていたんだなと思うことがあります。
私の親父も医師でしたが、同じ仕事をしていて あの時 親父はこう考えていたのかな と思うことがあり、親父が どんな診療をしたかったのか考える事があります。
親父がやりたかったことは、単なる治療ではなく、分かりやすく知識を提供し、こうした方がいいと伝えた上で、その人にあった解決策を相談して、一緒に考えていく、仲間内での雑談の上にあるような そんな医療ではなかったかと思います。

情報化時代でたくさんの情報が入る中、本当の情報と怪しい情報がたくさん混じっています。怪しげな投資情報、怪しげな 健康食品の コマーシャル(聞いたこともない学会の会長さんが「お勧めします」「今がチャンス」など)だけで 信用しなければいけない そんな中で、どの情報を信じるのか 相談する相手が必要だっていう人も多いと思います。もちろん 我々 もわからないことはたくさんあるのですが、明らかに違うこと、正しいことをお話して、選択の参考にしてもらえばいいと思っています。

20年以上前ですが、大腸がんをみつけ、手術を勧めましたが、家族に「切らなくても良い民間療法がある」と勧められ、せっかく書いた紹介状も取りにききませんでした。その後どうなったのか、気にはなっていましたが、だんだん記憶のかなたになっていった数年後のある日、その患者さんが外来に来ました。もう一度考えて、外科のある大きな病院を受診し、手術し、経過は良好の様でした。私自身が、小躍りするほど嬉しかったのを覚えています。
時代は「安・近・短」になる中、今、父は、相談できる医者を目指していたのではと、30年も経ってから思っています。